パレード
読書記録:ネタバレあり
パレード/吉田修一
昔から映像化された本を読むのが好きです。
この本を映像化しようと考えた人はこの本を面白いと思ったから作ろうと思ったということだから
その本にはそれだけの魅力があるんだろうと手が伸びることが多いです。
もちろん、映像化されていない本も読みますが、何を読むか迷ったときに選びがちです。
読んだあとに映画やドラマ、アニメを見て答え合わせするのも好きです。
解説で川上弘美さんが書いてらっしゃったように、怖い本でした。
1から4章は全く怖くなくて、この中の登場人物だったら誰と仲良くなれるかなーなんて考えられるくらい余裕を持って読み進めてました。
問題は5章目・・・
あらすじをまともに読んでいなかったのもあって、話の展開に震えました。
それぞれに闇を抱えた若者の話なんですが、5章目がもう闇しかない。
5章のメインの登場人物もその周りで生活している人たちも闇。
仲良くなれるかなーなんてのんきに読んでいた自分にそんな穏やかな小説じゃないよと教えてあげたい。
人はその人の一面しか見ることが出来ないんだということを体感できました。
実生活でも仲良くしている人の見せてくれているのはその人の表だけ。
違うな、私と接してるときの面だけなんですよね。
私だって旦那に見せる私、娘に見せる私、友人に見せる私、上司に見せる私、同僚に見せる私、ママ友に見せる私、全部違うし、私以外の人だってそうなんだって気付かされたというか。
本当に怖かった。
多分私は闇を抱えていないし、そんな複雑な人間じゃないと思ってるけど、そう思ってるのは私で私以外の人の評価はぜんぜん違うものかもしれない。
娘だってのんきそうに笑って踊ってるけど、ものすごい闇を抱えたサイコパスかもしれない。
でも私に見せてる娘は平和そのもので。
考えれば考えるほど怖い。
もう1回この怖さを知った上で読み直したい本です。